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VELO SOLEXヴェロ・ソレックス

 フランスの動力付き乗り物で、もっとも簡便なもののひとつにヴェロ・ソレックスがある。正式名称は、ヴェロ・ソレックス VELO SOLEX。もともと馬力の小さな原付「自転車」だ。ちなみにVELOとは自転車という意味だ。
 一昔前のパリの街中の風景や映画の中にもたびたび登場したヴェロ・ソレックスは、自転車の前輪の上にエンジンを乗せた一風変わった乗り物だ。フランスでは免許なしで乗れる原付2輪として人気があった。しかし、一般的な原付のようにチェーンや歯車を介して後輪を駆動するわけではない。
 前輪の上に付いているエンジンで、直下にあるローラーを駆動し、そのローラーで、ダイレクトに接触したフロントホイールを回転させる仕組みだ。つまり二輪車ではめずらしいフロントエンジン・フロントドライブ(FF)である。
 さらに面白いのはペダルも付いていることだ。エンジンのパワーが要らないような道では、自転車の要領で漕ぐ。いわばエコのご先祖様にあたるんじゃないだろうか。
ヴェロ・ソレックスの誕生は1946年。考案したのは、自動車ファンの間ではキャブレターの製造元としても知られるソレックス社である。
 日本でも、1970年中盤にダイハツが輸入していたことがあった。日本で原付ブームの火付け役となる1976年ホンダ・ロードパルより前である。
 ヴェロ・ソレックスは本国フランスでは1988年に生産が中止されたが、ハンガリーでライセンス生産が始まり、日本にも輸入されている。
 それとは別に、昨年あるパリの企業が『eソレックス』という商品を売り出した。ヴェロ・ソレックスのイメージを維持しつつ、トリノの名門カロッツェリア・ピニンファリーナがデザインした電動自転車である。この『eソレックス』、もはや中国製だが、デビューに合わせてフランスやイタリアのメディアがこぞって「21世紀のソレックス」と採り上げた。ヴェロ・ソレックスが今も欧州の人々の記憶にしっかりと残っている証しである。
 

取材協力 : ダイハツ専門店ウエスト


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