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VW181 thing

 1969年末に戦時中の軍用車キューベル・ワーゲン然としたVW181が発表された。このVW181はオフロード・ユースを主な目的とした他用途モデルだが4輪駆動ではなく、ビートル同様のリア・エンジン/リア・ドライブであった。

 

 
 1960年前半、欧州市場でのビートルの苦戦にあえいでいたVW社は、ヨーロッパでの不振をアメリカでまかなうことはできたものの、そろそろ全く新しいモデルの登場が望まれた時期にさしかかっていた。
 満を持して1961年に発表されたVW1500(タイプ3)は、大きな期待が寄せられたものの、デザインはオーソドックスなものに改められ、プラットホームはカルマンギアと比べても特に代り映えするものではなかったため、販売は伸び悩んでしまう。結局はビートルに頼らざるを得ない状況は変わらなかった。
 VW社の首脳交代後に発表されたVW411も、ちょっと変わったボディデザインとサスペンションが斬新なだけで、エンジンはやはりビートルのエンジンを流用。結局、動力性能の不足などの理由で1974年には生産が中止された。
 そんな中登場したのがVW181(通称:シング)である。VWのなかでも特殊車輌として扱われるVW181は、一見四輪駆動車のようにも見えるが、実はプラットホームはビートルと同様、ゆえに駆動方式もRRである。
 このクルマの歴史はVW同様に古く第二次世界大戦までさかのぼる。ドイツの連邦政府陸軍は、フランスが開発した水陸両用車に替わるクルマをフォルクスワーゲン社にオーダーし、プロトタイプの182が試作された。このクルマは軍用の設備を持った照明、マップライト、ラジオなどを搭載した軍用車で、モロッコ、オーストリア、フランス、オランダの軍隊にも売り込んでいる。その182をベースに1960年代にアメリカを中心とした民間市場のために開発されたのがType181だった。つまりスイングはVWの派生モデルなのだ。
 戦時中のキュ−ベルワ−ゲンにも似たボディをまとうこのクルマ、内外装は極めてシンプルで、自動車の本質を思わせるもの。ベースとなったビートルより若干重くエアコンなどの快適装備もつかないが、そんなことはどうでも良くなるような気持ちにさせてくれる。
 このあと登場するイルティスがVW社最初の本格的四輪駆動になる。このクルマはアウディの前身、DKWのムンガの後継モデルとして開発された。しかし、ムンガの面影はイルティスよりも181の方が色濃いように思える。

取材協力:倉田自動車鈑金塗装


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