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安い、速い、広いと3拍子揃った
「軽」の革命児!

4サイクル空冷2気筒OHCというモーターサイクルで築いたノウハウを投入したエンジンは31psの高出力を発生。最高速は115H/h、0-400E加速は22秒という優れものだった。miniに似たボクシーなボディとFFレイアウトがもたらす広い居住スペース、加えて31万3000円という低価格など、すべてが既存の軽の常識を覆す傑作車といえる。

 1964年から1965年にかけて設計され、1967年(昭和42年)3月、本田技研が初の4人乗り乗用車として送り出したN360通称Nコロは、スペースユーティリティに優れるFF2BOXスタイルと、高い動力性能で大ヒット作となった。事実、軽自動車の王座に君臨していたスバル360をその座から引き摺り下ろしたほどである。
 エンジンは二輪のトップメーカーらしく、CB450用のDOHCエンジンをベースに作られた空冷直列2気筒OHC354ccの4ストローク。アルミ合金製で、CV型負圧キャブレターを採用し、最高出力31PS/8500rpmというスペックはライバルの追随を許さない飛び抜けた数字だった。前進4段のフルシンクロミッションはエンジンと一体構造化されている。
 また、豊富なバリエーションもN360の特徴で、モノグレードでスタートしたN1シリーズでは、Mタイプ、Sタイプ、Gタイプ、サンルーフ車、AT車、ツインキャブ車が次々にラインナップに加わり、1969年1月からのN2シリーズ移行時には、さらにスーパーDXとカスタムが追加された。
 ホンダN360の人気の秘密は、ミニクーパーに倣った優れた基本パッケージングや、31.3万円〜という低価格もさることながら、前にも書いたように、31PS(リッター87PS)という外観からは想像できない抜群のパワーにあった。実際にこれだけの高出力はかなり衝撃的だったようで、のちの軽自動車のパワー競争の引き金になったとされ、手軽に入手できる高性能車として、底辺モータースポーツの発展にも大きく貢献した。
 軽にありがちな無理な背伸びや物欲しげなところが皆無で、初めて等身大でつきあえるクルマとしてたちまち若者のアイドル的存在となったN360。発売後の2年間で累計生産40万台というヒットを記録し、ホンダが本格的な四輪メーカーへ脱皮する礎となった。 まさにこのクルマには「エポックメイキング」という言葉がホントによく似合う。

軽自動車でありながらインパネまわりのデザインがどことなくレーシーなムードに包まれている。

当時の軽カーとしては破格の性能を秘めた空冷4サイクル直列2気筒CHCエンジン



取材協力:Car Plaza 遊

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